【素朴な日曜画家】アンリ・ルソーについてわかりやすく徹底解説(どんな人?代表作は?)

目次

この記事でわかること

アンリ・ルソーについてご存知ですか?
アンリ・ルソーは19世紀末から20世紀初頭にかけて活動していたフランスの画家です。
19世紀末のフランスは印象派というアートに革命が起こって以降、それまでにはなかった様々なジャンルの絵画が登場した時代でした。
そして、そんな時代においてもひときわ異彩を放っていたのが、アンリ・ルソーなのです。
ここではアンリ・ルソーとはどんな人物なのか、どんな作品を描いたのかなど、わかりやすく徹底解説します。

この記事でわかること

  • アンリ・ルソーってどんな人?
  • 作風は?
  • 代表作はなに?

アンリ・ルソーのプロフィール

ドクナック – Bridgeman, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=53510591による

アンリ・ルソーのプロフィールは下記の通りです。

  • 名前:アンリ・ルソー(正式名:アンリ・ジュリアン・フェリックス・ルソー/Henri Julien Félix Rousseau)
  • 生年月日:1844年5月21日
  • 死没:1910年9月2日(66歳の頃)
  • 出身:フランス

アンリ・ルソーは1844年に生まれました。時期的には印象派が芽吹く少し前のことです。年齢的には印象派の代表であるモネが1840年生まれであるため少し先輩です。このため印象派として活躍するモネやルノアールなどと同世代と言いたいところですが、ルソーが絵を描き始めたのは40歳を超えてからのことであったため、印象派全盛期よりも少し時代としては遅れてしまっています。
むしろ、ルソーの作品については、現代美術への影響のほうが大きいと言えます。あの、パブロ・ピカソはアンリ・ルソーの影響を受けていると公言しているほどで、所有していたルソーの絵を生涯手放すことはありませんでした。

アンリ・ルソーの生涯

アンリ・ルソーは1844年にラヴァルという田舎で生まれました。幼少〜青年時代までの記録は殆ど残っておらず、どのような生活を送っていたかなども謎に包まれています。また、本人も幼少時代についてはほとんど語ることはありませんでした。
ルソーは大人になると、一時法律事務所で働いていたこともありましたが、その後パリで入市税関という仕事につくようになります。入市税関は、パリに入市する人々から税金を徴収する仕事です。公務員的な仕事ですが彼の仕事ぶりはあまり評価されていなかったようです。今どきで言えば、「うだつの上がらないサラリーマン」という状態だったのです。

ルソーが絵を描き始めたのは30代後半に差し掛かってからでした。初めは入市税関の傍ら絵を描くいわゆる「日曜画家」でしたが、40代の頃についには長年勤めた入市税関の職を辞し、絵描きに専念するようになりました。ルソーについてよく「日曜画家」という言葉を枕詞に置かれますが、厳密にはルソーの全盛期である1890年以降は絵画に専念していたため「日曜画家」ではありません。

ルソーは入市税関の職を辞して画家として生きていく道を選びますが、そもそも絵が売れていたわけではありませんでした。生前には絵はほとんど評価されることなく生涯を終えることになるのです。それでも画家として生きていこうとしたのはルソーの類まれなポジティブ・シンキングの持ち主であったことにほかなりません。ルソーの自画像として有名な作品に「私自身 肖像=風景」がありますが、この作品では中央に大きな自画像が描かれており、遠近法が守られていないために異様に大きく描かれています。自らを肥大させて描く書き方からも、ルソーが自分自身に対して強い自信を持っていたことが伺えます。

「私自身 肖像=風景」アンリ・ルソー – French title and year from a postal card sold at the exhibition “Le douanier Rousseau, Jungles à Paris”, Galeries nationales du Grand Palais, Paris, mars-juin 2006., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=450511による

ルソーは作品のほとんどを「アンデパンダン展」という展覧会に出品していました。「アンデパンダン展」とは、無審査で自由に作品を出品することができる展覧会であり、人気がないルソーにとっては絶好のお披露目の場だったのです。
出品してまもなくの頃はルソーの絵は奇異の目にさらされ、多くの批判を浴びました。しかしながら彼の独特の世界観は徐々に受け入れられてくことになり、晩年には少しずつ評価されていったのです。

晩年、少しずつ評価が高まってきた最中、なぜか銀行手形詐欺事件に巻き込まれ、逮捕されてしまいます。ルソーは手紙の中で詐欺をしているつもりがなかったと主張していますが本当のところはわかっていません。そして1910年6月、最高傑作とも名高い「夢」を発表します。この絵については批判よりも評価する声のほうが多く、彼の作品はついに認められるようになりました。しかし絵を発表してからわずか数ヶ月後に、肺炎のために亡くなりました。

絵の特徴

アンリ・ルソーの絵は基本的には油彩画で描かれ、「素朴派」というジャンルでくくられることが多いです。
「素朴派」とは、技術的な教養がなく、また時代の流行なども取り入れられることもない、独自に描かれた作品です。よく言えば独創性に優れた作品、悪く言ってしまえば素人が描いた作品です。
ルソーは入市税関の傍らで絵を描き始めますが、技術的な教育を受けたことはありませんでした。そのためルソーの絵は遠近法のルールに則っておらず、登場人物の大きさもバラバラ、足を描くのが苦手だったためかどの絵も足元が少し浮いている用に見えます。また、ルソーは真正面を向いた絵を描くことが多かったことも特徴の一つです。
「フットボールをする人々」は上述したルソーの特徴がよく現れています。

「フットボールをする人々」アンリ・ルソー – Henri Rousseau, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2180142による

ルソーの絵画の特徴として「ジャングル」があります。ルソーは1890年以降の作品でジャングルや野生をテーマとした作品をいくつも描くようになります。「フォービズム」の先駆けとも言われるこれらの作品ですが、実はルソーはジャングルを自分の目で見たことはありませんでした。当時、パリにあった植物園に足繁く通い、ジャングルを作り出していたのです。

植物園をお手本としていたにもかかわらず、ジャングルをテーマとした作品は結果としてルソーの代表作として評価されるようになりました。

↓はジャングルをテーマとした作品

「虎と水牛のたたかい」アンリ・ルソー – 不明, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2180132による
「ライオンの食事」Henri-Julien-Félix Rousseau – Henri-Julien-Félix Rousseau, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6835915による
「夢」アンリ・ルソー – 不明, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10749748による

ルソーの絵についてそもそも上手いのか、下手なのか、についても長年議論が重ねられてきました。原田マハさんの小説「楽園のカンヴァス」はまさにアンリ・ルソーをテーマとして書かれていますが、主人公は「アンリ・ルソー実は絵がうまかった説」を提唱して論文を書いているという設定です。

代表作は?

アンリ・ルソーは非常に個性的な作品が多く代表作を上げるのが難しいですが、筆者オススメ作品は以下の3点です。

「夢」

絶対に外すことができないのが、最高傑作にして最期の作品である「夢」です。この作品はニューヨーク近代美術館「MoMA」にて見ることができます。

「夢」アンリ・ルソー – 不明, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10749748による

「夢」については別記事で詳しく紹介していますので、興味あればこちらを御覧ください!

「戦争」

ルソーの作品はメッセージ性があるんだかないんだかよくわからないという作品が多いですが、この絵が強烈なメッセージ性をはらんだルソーとしても異色作品です。

「戦争」アンリ・ルソー – http://www.nga.gov/exhibitions/2006/rousseau/fullscreen/230-037/230-037.shtm, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=158471による

「自画像」

自画像としては先に紹介した「自画像 肖像=風景」が知名度も高いですが、あえてこちらを紹介します。この絵もルソーの自画像ですが、筆者は初めてみたとき落書きにしか見えませんでした。
しかし、この絵はピカソが生涯所有し続けていた絵でもあったのです。ピカソは、ルソーの独創的な作品から強い刺激を受けました。ルソーが現代アートに大きな影響を与えたということを示す重要な作品でもあるのです。

「自画像」アンリ・ルソー – 不明, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2180027による

おわりに

今回はわかりやすさ重視のため重要な部分のみの紹介になりましたが、正直なところ筆者はアンリ・ルソーが好きすぎて、語りきれていない魅力がまだまだたくさんあります。
色々な作品を紹介しつつ、彼の魅力についても紹介できるといいなと思います。

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この記事を書いた人

ガジェットとアート好きな一般サラリーマン。生活を彩るおしゃれガジェットの情報、好きなアートについての雑記をメインにしています。

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