ドラマチックな絵画のはじまり「バロック主義」
ルネサンスによって花開いた「西洋絵画」は、長い時間をかけて進化を続けてきました。
今回紹介するバロックは、おおよそ17世紀、1600年代に登場する美術様式のことを指します。
時期的な流れでいうと、1500年前後にレオナルド・ダ・ヴィンチなどにより「ルネサンス」文化が最盛期を迎え、数十年の間はルネサンス絵画が主流の期間が続きます。そこから「マニエリスム」という、行き過ぎた美の追求が始まり、聖書や神話とただ美しく描くという世界から変革を遂げていきます。さらに時が経ち1600年代に入ると、今度はよりドラマチックな演出がもてはやされるようになっていくことになります。「バロック」は宗教に利用され、よりドラマチックで優雅に進化を遂げ1600年代の絵画様式として確立されることになるのです。
バロックってどんな絵なの? 〜光と影の演出〜
バロック絵画は他の時代と違って「これがバロックだ!」という明確な特徴を持っているわけではありません。様々な種類の絵画が描かれるようになったのもバロック時代からで、それまで評価されることのなかった「静物画」が注目されるようになったのもこれくらいの時期なのです。
強いて特徴をあげようとするならば、外せない人物はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョです。
カラヴァッジョは絵画の世界に「明暗対比」という新たな技術を確立し、それが劇的に評価されたことによりその後のバロック時代の後継者に絶大な影響を与えました。
「聖マタイの召命」はカラヴァッジョを代表する作品であり、「明暗対比」が非常によく現れている作品でもあります。室内は暗く「黒」が多用されており、まるで舞台のスポットライトが当たるように登場人物を照らし出します。影と強い光による「明暗対比=キアロスクーロ」は聖書の一場面をよりドラマチックに演出することに成功し、人気を博したのです。
結果としてカラヴァッジョを教師とした画家がたくさん生まれ、1600年代においてはこのような「明暗対比」を利用した作品が数多く生まれることになったのです。
また1600年代には、それまで絵画が宗教色が強く、聖書や神話を題材とした作品が多く生み出されていた時代から新たに素朴な日常を描く「風俗画」も描かれるようになりました。
「風俗画」で有名な画家といえば、ヨハネス・フェルメールです。フェルメールはオランダで活躍した画家で、「風俗画」や「風景画」を得意としました。中でも「真珠の耳飾りの少女」や、「牛乳を注ぐ女」は日本でも非常によく知られる作品となっています。いずれも歴史画ではなく当時に生きていた人々を素朴で現実的に描くことで高い評価を得ました。
真珠の耳飾りの少女
牛乳を注ぐ女
バロックの画家たち
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
有名作品:「聖マタイの召命」「ゴリアテの首を持つダヴィデ」
ヨハネス・フェルメール
有名作品:「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」
ピーテル・パウル・ルーベンス
有名作品:「十字架降架」
レンブラント・ファン・レイン
有名作品:「夜警」
終わりに
バロック様式はどこか朴訥とした雰囲気が漂っていて、且つ技巧派の画家が多いような印象があります。
そのきっかけになったのもやはりカラヴァッジョの躍進が一つ大きい要素となっていると思いますが、彼は絵画は非常に評価が高いですが、生前は暴力沙汰から果ては殺人までしてしまうとんでもない暴れん坊でした。そんな暴れん坊が一つの時代を作り、様々な名作を生んだのもまたバロック絵画の特徴かと思います。
バロック様式が終わりを迎えると、今度は絢爛豪華な「ロココ」が始まります。「ロココ」は貴族が最盛期を迎えることにより、まさに「ベル薔薇」のきらびやかでド派手な世界が広がります。
・・・個人的にはバロックのほうが好きかな〜。
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