巨匠リスペクトの果て「マニエリスム」
今回は、「マニエリスム」について紹介します。
マニエリスムは時期としては1520年頃から1600年ころまで続いた絵画の潮流の一つです。
この時代は個人的にも非常に理解が難しい時代で、絵画も読み解くことが難しいものが多いです。
ただこの「マニエリスム」は西洋絵画において重要な時代であることもまた事実です。
1分でわかる「マニエリスム」解説ということでなるべくシンプルに、わかりやすく説明します!
この記事でわかること
- マニエリスムってそもそも何?由来は?
- マニエリスムの有名な絵画は何?
マニエリスムって?由来は?
そもそもマニエリスムという言葉の語源は、「マニエラ」=「手法・様式」に由来します。また現在よく使われる「マンネリ」という言葉の語源でもあります。
マニエリスムを語る上で外せないのがかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、そしてラファエロ・サンティです。ルネサンス期を通して、最盛期を盛り上げた3人の絵は「絵画のお手本」となりました。
そして「絵のお手本をしっかりマネしてして描くことが正しい!」という考えが広まり、それは最終的には「お手本のように描く」ことが目的となしまったのです。
つまりマニエリスムとは「オリジナリティ」よりも「偉大な巨匠の模倣とその強調」を重要視した独特な考え方なのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
ミケランジェロ・ブオナローティ
ラファエロ・サンティ
どんな絵が描かれたの?
マニエリスムの特徴は、「誇張」と「寓意」
マニエリスムの特徴は大きく2つあります。1つ目は、「誇張表現」です。
マニエリスムの代表的絵画としてよく知られているのは、パルミジャニーノの「長い首の聖母」です。聖母マリアがまだ赤子のキリストを抱いた姿が描かれており、ルネサンス時代から頻繁に用いられている主題です。しかし、絵をよく見るとバランスがおかしく無いでしょうか?聖母の首は不自然なほどに長く、体勢も曲がりくねっています。キリストも赤子にしては体がやたらと長く、足も長いために小学1年生くらいに見えます。このように描かれたのは聖母とキリストをより美しく表現するために色々な部位が誇張されて表現されているのです。ルネサンス時代に美しいとされていたお手本を元に、その手法をより誇張することで美しい絵画とすることが、「マニエリスム」の特徴の1つです。
次に、もうマニエリスムにおいて重要な絵画を紹介します。アーニョロブロンズィーノの「愛の寓意」です。この絵、パッと見でもすごく変な絵ですよね。
寓意とは抽象的な概念を絵画などによって具現化したもののことを指します。この絵には、様々なキャラクターがところ狭しと描かれています。またこれらのキャラクターには一人一人に意味があり、絵全体として、ある1つの概念や考え方を示しているのです。この絵は題名の通り愛について表しているとされていますが、解釈については完全に解明されているわけではありません。このように、複雑な「寓意」を描くことも、マニエリスムの特徴の1つになっています。
おわりに
今回はマニエリスムについて解説しました。マニエリスムは時代の狭間に存在する不思議な期間です。この後、西洋絵画はバロックというドラマチックな絵画を描く時代が訪れることになり、マニエリスムは徐々に廃れていきます。ただ他の時代では、例えばバロックであれば明暗表現などわかりやすい特徴がありますが、マニエリスムは複雑怪奇で特徴を捉えることが難しい側面があります(前の章で紹介したのはあくまで代表例です)。少し取っつきにくいところもありますが、その魅力の謎については興味を持ちはじめたら止まらなくなる、そんな時代でもあるのです。
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