はじめに
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」
STEP1 明日使えるバズ知識
STEP2 基本情報 ちょっと詳しく
- 作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452−1519年、イタリア)
- 製作年:1498年(ダ・ヴィンチが47歳の頃)
- 画法:テンペラ画
- 大きさ:420cm×910cm
- 所在:サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院
- ジャンル:ルネサンス
- 絵画の基本情報:レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作の一つ。新約聖書にでてくるイエス・キリストと12使徒の最期の晩餐を描いている。一点透視図法やスフマート(背景が遠くになるほどぼやける表現方法)を駆使し、それまで時代はイエス・キリストを奥に据えて12使徒を手前に描写する手法がほとんどだった中でイエス・キリストと12使徒を同列に並べるなど、新たな試みが散りばめられている。
STEP3 深煎り知識 もっと詳しく
言わずと知れた名画、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最期の晩餐」を今回は紹介します。ところで、筆者はわかりやすいようにあえてダ・ヴィンチと表現しましたが、ダ・ヴィンチとは「ヴィンチ村の」という生まれを表している名前であり、本人を特定するのは実は「レオナルド」のほうです。このため、最近ではダ・ヴィンチではなくレオナルドと呼ぶほうが正しいとされているらしいです。ダ・ヴィンチと呼ぶ方が馴染み深い気もしますが、ここから先は「レオナルド」と呼称しようと思います。
レオナルドといえばミケランジェロ、ラファエロと並ぶルネサンスの3大巨匠の一人です。ルネサンスとは「再生」や「復興」の意味がありますそれまでの西洋ではキリスト教により聖書の絵や神話を描くことがタブーとされており、その長い弾圧期間から宗教改革などにより開放運動が起こり、芸術分野においてもキリスト教体制以前を取り戻した、「再生」したということでルネサンスと呼ばれています。レオナルドは遠くの背景をぼかす「スフマート」という技法や、人の輪郭を描かない描き方などその当時としては革新的な技法を駆使し、西洋美術業界に革命をもたらしました。また、それ以外にも建築学や解剖学など幅広い分野において突出した才能を遺憾なく発揮し、「万能の天才」と呼ばれるまさに時代を代表する歴史的人物と言えます。
ただ、彼は完璧を求めるがゆえにこの「最後の晩餐」で大失敗をしてしまうのです。当時、壁画に用いられていたのはフレスコ画という、漆喰の上に顔料を塗り込むことにより壁に色をつける技法が主流となっていました。しかしこの画法は色の選択肢が少ない、乾くのに時間がかかるなどレオナルドが求める絵を描くためには物足りない画法でした。そこでレオナルドが目をつけたのがテンペラ画でした。テンペラ画は卵などを顔料と混ぜたものを直接カンバスに塗る技法であり、カンバス上においては経年劣化が少なく、乾きやすく上塗りもできることから当時の絵画にはよく使われている手法でした。そしてレオナルドは壁画にこの手法を応用したのです。ところがこれが大失敗!テンペラ画は温度や湿度に弱く、レオナルドの描いた絵はみるみるうちに劣化していったといいます。その後、「最後の晩餐」には不運が続き、改修工事で亀裂が入ったり洪水に巻き込まれたりで製作当時からしてみれば見る影もなくなっているとのことなのです。幾度となく修復が行われ今の姿になりましたが、こうして現代でも見ることができるのはまさに奇跡的なことであると言えるのかもしれません。
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