はじめに
ジョン・エヴァレット・ミレー「オフィーリア」
STEP1 明日使えるバズ知識
STEP2 基本情報 ちょっと詳しく
- 作者:ジョン・エヴァレット・ミレー(1829−1896年、イギリス)
- 製作年:1852年(ミレーが23歳の頃)
- 画法:油彩
- 大きさ:76.2cm×111.8cm
- 所在:テート・ブリテン
- ジャンル:ラファエル前派
- 絵画の基本情報:ラファエル前派を代表する画家の一人であるミレーによる作品。ハムレットの登場人物である「オフィーリア」の最期を描いている。
STEP3 深煎り知識 もっと詳しく
ミレーといえば、「落ち穂拾い」を思い浮かべる方が多いと思いますが、こちらのミレーは別人で、イギリス人です。
ミレーはラファエル前派という派閥の代表的な人物ですが、彼らもまた当時の美術業界に一石を投じたグループの一つです。当時の美術業界においてはラファエロという偉大な画家が誕生して以降、彼の絵を絵画の規範としており、アカデミーにおいても見本とされていました。そんなアカデミーに対して、ラファエロ以前の初期ルネサンスを取り戻そう!という運動として集まったのがラファエル前派です。色彩豊かに細かい描写をして写実的で自然な絵を目指しているのが特徴です。
これだけ聞くと、「まじめで賢そう」なイメージを持つと思いますが、個人的に感じる彼らの印象は少し違います。当時王道だったフランス絵画に対して不満を持ち、それに反旗を翻す、どちらかというと田舎にいるヤンキーのようなイメージです(完全に偏見なので、お気を悪くされた方申し訳ありません汗)。
というのも、STEP1で触れていますが、絵のモデルとなったエリザベス・ジダルは絵を描いている間何時間も冬のバスタブの中に沈められて、ひどい風邪を引きました。挙げ句に彼女の父親から訴えられて、賠償請求をされてしまっているのです。他にも、ラファエル前派の立役者であるロセッティもいわゆるクズ男な一面があり、何だか「時代に反抗して無茶しちゃうぜ」と息巻くヤンキー感があるんですよね。(繰り返しになりますが、偏見です!)
ただ、それでもそんな彼らの描く絵は、ひたすらに美しいのです。「オフィーリア」も写実と幻想を非常に巧みに両立しており、見る人をファンタジーの世界に連れ立ってくれます。ミレーの描くこのオフィーリアが水辺に浮かぶシーンはハムレットにおいては存在しておらず、物語から想像して描かれています。しかしながら、この絵は見る人々の想像を掻き立て、ハムレットの1シーンとして強く心に残すことに成功し、ラファエル前派の名を広めるに至っているのです。
19世紀以降の絵画世界では様々な派閥が生まれています。それぞれの派閥について興味を持ち好きになると、絵画についてぐっと興味が湧いてくると思います。いわゆる箱推しってやつです。皆さんも押しの派閥を見つけてみてはいかがでしょうか。
ちなみに筆者はポスト印象派、素朴派あたりが好きです。
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