ゴッホ「星月夜」についてのわかりやすい解説

目次

はじめに

今回はフィンセント・ファン・ゴッホの「星月夜」について紹介します。
星月夜はゴッホの代表作品の一つであり、名前は聞いたことがなくても、独特の目が回るような景色を一度は見たことがあるのではないでしょうか?
そして、一度見たら決して忘れないくらいのインパクトがある絵でもあります。
ここでは、星月夜の基本情報と、絵に関する解説を紹介します。

「星月夜」フィンセント・ファン・ゴッホ 1889

フィンセント・ファン・ゴッホ – bgEuwDxel93-Pg at Google Arts & Culture, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25498286による

基本情報

  • 作者:フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)
  • 製作年:1889年(ゴッホが36歳の頃)
  • 画法:油彩
  • 所在:ニューヨーク近代美術館
  • ジャンル:ポスト印象派
  • 絵画の基本情報:ゴッホが精神病棟で入院している時に描かれた。色彩豊かでダイナミックな表現で描かれたこの絵は後世にも大きな影響を与えた。

詳細情報

星月夜」に見る、ゴッホの光と影

ゴッホといえば、多くの方は「ひまわり」や「星月夜」を思い出すのでは無いでしょうか。筆者としてもやはり代表作はこの辺りかなと思います。
この2種類の絵画は、ゴッホの光と闇を表していると筆者は思います。
「ひまわり」は、非常に希望に満ち溢れた作品です。この作品は、ゴッホが南フランスの田舎であるアルルに移り住み、かくも有名な「黄色い家」という画家が共同生活できる家を借りて、友人の到着を待ちながら描いた絵です。黄色い家を飾るために作られたいくつものひまわりは、その後世界でも有数の有名な絵画になりました。うち一つは日本のSOMPO美術館でも見られることは有名ですね。
一方で、「星月夜」はその煌びやかな色彩とは対照的に、非常に「死」の香りが漂っています。この絵が描かれた1889年、ゴッホは精神病棟に入院していました。黄色い家での友人(ゴーギャン。この人もすごい面白い人!)との生活がわずか1ヶ月で崩壊し、かの有名な「耳切り事件」を起こして一人になったゴッホは、度重なる近隣住民とのトラブルもあって精神病棟に入れられました。また、魂込めて描いた作品も売れることはなく、それでも諦めずに精神病棟の中で描いた絵。それが「星月夜」なのです。
ゴッホは弟で長年パトロンをしていたテオと親密に手紙を送り合っており、そのため彼の生活や性格、絵画に対する思いもかなりの部分が公になっています。そしてその激動の人生が知られることになったが故に有名になった側面もあると思うのです。筆者はゴッホのことを天然で天才肌タイプだと思っていましたが、手紙にはゴッホの絵画に対する熱い思いや緻密な考えが非常に細かく書かれていたようです。つまり、この「星月夜」も決して天才が偶々生み出した産物なのではなく、ゴッホの血と汗の結晶であることに疑う余地はありません。

なぜ、空は渦巻いているのか(筆者の個人的感想含みます)

「星月夜」の特徴はなんと言っても目が回りそうな渦巻く夜空だと思います。夜空はうねって光と闇が一体となり、風景全体を飲み込もうとする迫力です。
上述したとおり、ゴッホは感覚だけで描くタイプでは決してなく、己の中にある理論に基づいて感情表現を具体化しながら絵に落とし込むことができた画家です。そして、本人としては決して現実離れした景色を描いているわけでもないのです。
これは筆者の個人的な感想になりますが、ゴッホの渦巻くような絵は「耳切り事件」と関係しているのでは、と思っています。
「耳切り事件」とは、ゴーギャンに裏切られたゴッホが怒りに見を任せてか自らの耳を切り落として娼婦に差し出した事件のことです。
そして、この耳切り事件以降、ゴッホの精神は非常に不安定になるのと同時に渦巻くような絵を描くことが多くなりました。一つには、ゴッホの内面が強く出た結果と考えられます。内面の不安定さを、絵画にも表したのではないでしょうか。
しかし、もう一つ可能性があると筆者は考えています。それは「日常的に目が回りやすい状態」になっていたのではないか、という点です。
ゴッホは耳切り事件にて片耳だけを切り落としています。この結果、三半規管に影響を及ぼし目が回りやすい状態になってしまっていたのではないかと思うのです。
つまり、「星月夜」で描かれた光景はぐるぐると回った視界を見たままにそのまま描いていた可能性があるのではないかと筆者は感じるのです。

同時期に描かれた「二本の糸杉」においても同じようにう燃え上がるような強いうねりのある絵を描いています。

フィンセント・ファン・ゴッホ – repro from artbook, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9495532による

おわりに

ゴッホは後世に大きな影響を与えた偉大な画家であることは間違いありませんが、現代でもこうして非常に有名で名前が知れ渡り続けているのは、その独特の人柄とそれが現れた絵を描いていたからだと思います。
ゴッホの作品は絵だけを楽しむのではなく、その絵と彼の人生を照らし合わせながら考えると見るたびに色々な気づきがあります。
「星月夜」をきっかけにゴッホの他の作品にも触れてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

ガジェットとアート好きな一般サラリーマン。生活を彩るおしゃれガジェットの情報、好きなアートについての雑記をメインにしています。

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