バズ絵画 第9回 クロード・モネ「散歩、日傘をさす女」解説

目次

はじめに

クロード・モネ「散歩、日傘をさす女」

クロード・モネ – EwHxeymQQnprMg at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22174454による

STEP1 明日使えるバズ知識

STEP2 基本情報

  • 作者:クロード・モネ(1840−1926年、フランス)
  • 製作年:1875年(モネが35歳の頃)
  • 画法:油彩
  • 大きさ:100cm×81cm
  • 所在:ナショナル・ギャラリー
  • ジャンル:印象派
  • 絵画の基本情報:モネの代表作の一つ。第2回印象派展に出品した。見たままの「外光」を積極的に取り入れ、原色を利用した画法はまさに印象派の特徴となっている。モデルとなっているのは一人目の妻であるカミーユと、息子のジャン。同じ年の印象派展に「ラ・ジャポネーゼ」という作品を出展しており、こちらもモデルは妻のカミールであることから当時のモネの愛妻ぶりが伺える作品となっている。

STEP3 深煎り知識

モネといえば「睡蓮」が馴染み深いと思いますが、今回紹介する「散歩、日傘をさす女」も名前は知らなくても一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
原色を利用しつつも見たままの外光を描き出したこの作品は、モネが1番輝いていたときの作品です。作品も全体的に明るく希望に満ちているように感じて、筆者はこの頃の作品が非常に好きです。この少し後にモネは愛妻を亡くし別の女性と再婚することとなりますが、以降はどこか哀愁の漂う風景画を連作で描いていくことになります。「睡蓮」はまさに晩年の作品です。
この作品のすごいところは、近くで見た時と遠くで見た時とで全く印象が異なることです。印象派の作品は特にそのような作品が多いですが、近くで見ると原色の絵の具が大胆に塗られており、形が判然としません。これが遠くから引きで見てみると全体のバランスの中に2人の人物と美しい風景が浮かび上がってくるのです。どこかトリックアートにも思えるこの技法は間違いなく印象派の先駆者であるモネやルノアールが培ったものです。
そもそも原色をそのまま多用する使い方自体、当時のアカデミックな面々にとってはあるまじき行為でした。このためモネたち印象派の人たちはアカデミックから独立して「印象派展」という新しい展覧会を自ら開催したのです。
そんな彼らの絵に大きく影響を与えたのが、「日本画」です。当時のパリ万博で初めて日本画がフランスに持ち込まれ、衝撃を与えるとともに一大日本ブームが起こることとなったのです。「散歩、日傘をさす女」と同じ印象派展に出品された「ラ・ジャポネーゼ」はまさに日本の着物を着てうちわに囲まているのすから、いかに当時のフランスで日本文化が流行っていたかがよくわかります。
ところで、フランスってけっこうアニメ文化も盛んであるとよく聞きます。このアニメ文化自体もパリ万博で起こった日本ブームから脈々と受け継がれたムーブメントなのかもしれません。アニメは今や日本文化の象徴になりつつありますが、その原点となったのは19世紀末の日本ブームなのかもしれませんね。
ところでこの作品のタイトル、「日傘をさす女性、モネ夫人と息子」という呼ばれ方もするようですが、絶対「散歩、日傘をさす女」のほうがエモい感じがしますよね。タイトルも含めて好きな作品です。

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この記事を書いた人

ガジェットとアート好きな一般サラリーマン。生活を彩るおしゃれガジェットの情報、好きなアートについての雑記をメインにしています。

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